第三弾「季節到来!清酒製造工程 その2」


当サイト制作 竹内(日本酒の知識ゼロ)が素朴な疑問で
千古乃岩酒造の秘密に迫る「千古乃岩酒造とは」第三弾!
「季節到来!清酒製造工程 その2」

「季節到来!清酒製造工程 その1」はこちら

<竹内>(以下T)
前回に引き続き、仕込みをレポートします!よろしくお願いします!!

<酒蔵の製造担当 中島大蔵さん(以下D)
はい。前回は主に、蒸米米麹(製麹)の説明をしましたので、
今回は 酒母(しゅぼ)ともろみと仕込みについて説明していきます。

<T>
おお!酒蔵というと大きなタンクが並んでいるイメージですが、ついに登場ですか?!

<D>

そうです。もろみですから。酒母は とも言い、その字の通り、酒造りの元となるものです。


<T>
蒸米酵母を混ぜて発酵させたものですよね。
←酒母用のタンクはもろみ用タンクのほぼ10分の1です。
ちなみにこのタンクの容量は502Lです。

蒸米
酵母
酒母

<D>
そうです。では、もろみというのは、何かわかりますか?

<T>
もろみ・・・(もろきゅう?もろみ?)

<D>
もろみというのは、イメージされてる大きなタンクで
酒母に麹・水・蒸米を足し、発酵しているものです。
では、お待ちかねのタンクを見に行きましょう。

<T>
(もろきゅうは関係なかったんですね・・・) さ、タンクタンク!



<T>
失礼します!いつ見ても大きなタンクですね!ちょっと感動・・・
春に来たときには中は空でしたが・・・



<D>
このタンクは、昨日初添えを行ったもので
酒母に、麹・水・蒸米(酒母の原料と同じですね)を入れたものが
入っています。
こちらのものは、今日は「踊り」です。「踊り」というのは仕込みをお休みし、
酵母を踊らせる日のことです。
なぜ少量かというと、 一度にたくさん仕込むと酵母数が少なくなり
雑菌が繁殖しやすくなってしまうので、
酵母の繁殖にあわせて三段階に分けて原料(麹・水・蒸米)を4日かけ加えていきます。
『初添え、踊り、仲添え、留添え』 これを三段仕込みと言います。
(踊りには何も足さないので、初添えと仲添え、留添えで三段仕込み)

<T>
二階のを一階のタンクに運ぶのは大変ですね。

<D>
それには裏技があるんです。(二階へ移動)
床に扉があり、真下にあるタンクに麹を落とすんですよ。

  

二階にある こちらの神棚は、酒の神様・松尾様です。
今年も無事においしいお酒ができますように!


<T>
立派な梁ですねぇ。神聖な感じがしますね。

1週間後
段仕込み
初添え
1日目
(踊り)
2日目
休ませて酵母を
踊らせること
仲添え
3日目
留添え
4日目
(仕込み1日目)
発酵
熟成もろみ

<D>
前回のもろみがこんなに増えましたよ。

<T>
発酵がすすみ、こんなに泡が高くなってるんですね。
そういっている間にもぶくぶくしていますが、この上に取り付けられている機械はなんですか?
( 真中で細い針金のようなものがまわっている)

<D>
発酵がすすむと泡が高くなります。これを高泡(たかあわ)といいます。
高泡の状態では泡があふれてしまうので、機械で泡を消すんです。

そしてさらに発酵がすすむと泡は低くなり(落泡[おちあわ])、
最後には 泡は無くなります(地[ぢ])。

留後10時間 米が水を吸って膨らんできた 留後5日目 泡が立ち始めてきている
留後8日目 高泡 留後18日目 落ち泡

<T>
泡は触るだけで消えるんですね。

<D>
毎日、朝と晩の2回、櫂(かい)を使ってもろみを撹拌(かくはん)します。
これを『櫂入れ』と言います。
櫂入れは、ただ混ぜるのではなく、もろみ全体を均一に混ぜます。
この時、櫂を入れ過ぎると雑味の多い酒になってしまいます。逆に櫂が入り足らないと発酵が上手く進みません。微妙な加減が必要なんですよ。

<T>
発酵の具合はどうして分かるんですか?

<D>
毎朝、櫂入れを行った後、分析をするんですよ。

<T>
分析?

<D>
酒造りは、麹菌の酵素による糖化と酵母による発酵の微妙なバランスによって成り立っています。(並行複発酵)
この麹菌と酵母は、肉眼では見ることの出来ない小さな生き物(微生物)です。
そのため、泡などの状態だけでなく、科学的な分析も行なってもろみを管理します。
分析は、日本酒度・アルコール度・酸度・アミノ酸度・直糖・pHの測定を行ないます。
その他に、顕微鏡を使って酵母や乳酸菌などの微生物を観察します。

糖化によって[でんぷん→糖]、発酵によって[糖→アルコール]となります。
アルコール度というのは、発酵によりできるアルコールの比重を調べ、
算出するものです。

<T>
でんぷん(米)に変え、酵母アルコールに変えるんですよね。
その発酵の具合を毎日確認するということですね。職人の勘だけではなく
さらにデータによる管理によって、品質が保たれているというわけですね。


次回、
ついに完成!手間ひまかけた日本酒の完成です。



「季節到来!清酒製造工程 その3」に続く。


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